まちの日常に根差すことを願うOGAWA COFFEE LABORATORY

——衛藤さんはラテアートの大会で優勝もされていますが、トレーニングをするスペースがあることのメリットはどのように捉えていますか?

衛藤:大会は、成長の過程の一環として出ている感じですね。大会に出た年とそうでない年では成長の伸びが違いますし、会社の看板背負って挑戦することは有意義なものだと感じています。トレーニングスペース(バリスタステーション)があるメリットはすごく大きいです。 本社にはトレーニングルームがあるのですが、他の直営店にはそういうスペースがないので、営業後にトレーニングをしています。しかし、百貨店の店舗では時間が限られていたり、練習ができなかったりする状況もあります。仕事と練習を両立することは難しいのですが、このスペースがあれば夕方の営業中でも仕事を上がった人が、すぐに集中してトレーニングができるんです。お客様からもトレーニング姿が見られるようになっているので、そこからコミュニケーションが生まれることもあります。バリスタステーションがあるとそういった関係が生まれたり 、営業時間内にも有効活用できています。


店内の片隅に設けられているバリスタステーション


大会にも使われるというエスプレッソマシーンでトレーニングする姿が見られることも

——桜新町に来るお客様やまちはどんな印象ですか?京都との違いはどんなところですか?

衛藤:うちはたくさんの種類のコーヒーを扱っているのですが、東京の方は飲まれている種類の幅が広いですね。いろいろ飲んでみたいという方が多い気がします。京都では飲み応えのある深煎りのコーヒーを好む傾向にあって、桜新町に来てからは浅煎りのコーヒーもよく抽出しているという体感があります。


風味が俯瞰できる「Flavor Compass(フレーバー コンパス)」が示されたメニュー

松政:食自体を楽しむために来られる方がいたり、お客様が求められているものが、今までの私たちのサービスとは違う形だったりしておもしろいなと感じます。コース料理を提供してそれを楽しんでいただくことなど、これまでやっていなかった取り組みができているのが楽しいところでもあります。

公文:桜新町の方たちが私たちを受け入れてくださるような、あたたかさがあります。お子さんと一緒に来てくださる方も多く、ご来店をきっかけにコーヒーを好きになってくださる方がいたり、お客様の幅も広がったなと感じています。

——遠方からわざわざ来店される方も多いかと思いますが、地域住人やこのまちにとってどんなお店でありたいですか?

松政:午前の時間帯は圧倒的に地域の方が多く、ランチタイム以降や土日は、遠方からのお客様に来ていただいているのですが、朝の7時から夜の10時までとすごく営業時間が長いので、季節や時間のうつろいを感じていただくことができます。夕方には西陽が差し込んできたり、ライティングもできるだけ落として自然光を取り入れたり、いつ来ても店の表情が違いますし、時間帯によってメニューを変えているので、いろいろな時間にいろいろな使い方をしていただきたいと思っています。
どこの路面店もそうですが、雨が降るとお客様が少なくなるので、そこは狙い目かもしれません。

——「OGAWA COFFEE LABORATORY」を訪れた方に、どのように桜新町を楽しんでもらいたいと思いますか?

公文:近くの桜神宮は、春は桜、夏が緑がきれいで、うちのコーヒーをテイクアウトして、一緒に撮影してSNS投稿してくださっている方もいます。私たちのコーヒーをまちのいろいろなところへ一緒に連れていってもらうのもとってもうれしいです。向かいのピザ屋さんでピザを 食べてからコーヒーを飲みに来たり、コーヒーを飲んでから夕食にピザを食べに行ったりという方もいらっしゃいます。
桜新町商店街とは別のエリアになるのですが、フードメニューに、桜新町のファインシュメッカー サイトウさんのソーセージや、鮮魚平澤さんのお魚を仕入れて 提供させていただいたりもしています。まちのつながりを楽しんで、そのお店を訪れたりしてもらいたいですね。

松政:エスポアナカモトさんのワイン もお出ししています。コースメニューを考えるときに、桜新町のお店の商品を使ったメニューをやってみようといったことや、できるだけ地域の方と交流をもっていきたいという考えがありました。


ファインシュメッカーメッカーサイトウさんのソーセージを使ったお料理 (提供:小川珈琲株式会社/撮影:伊藤 徹也)

——古くからある商店街に加盟されるということの決め手は何だったのでしょうか。

松政:そもそもカフェは地域の社交場であるべきだと思っているので、地域の方との関係性は重要なことだと感じています。お店をオープンしてからはまだコロナで残念ながら桜新町のねぶたまつりやさくらまつりは開催されていないのですが、開催できるようになったら、ぜひ参加 したいと話しています。

——まちの一員として、このまちの商店街に期待することはありますか?また、桜新町は10年後にどのようなまちになっていてほしいですか?

松政:ぜひこのままの雰囲気が続いていってほしいです。地理的アクセスもすごくいいですし、駅周辺やサザエさん通りから通り一本外れるだけですごく静かで穏やかで、住む方にとっては最高の条件が揃っているまちだと思います。今の心地よさが続くお手伝いができたらいいですね。

公文:変革しながらも変わらない。いつ来ても変わらないことでしょうか。例えば、お子さんが成長してまちを出ても、ふらっと戻ってきたときに、新たな変化をして発展をしていても変わらずにあったかい場所であり続けてほしいです。

[取材日] 2022年3月8日
[聞き手・構成・写真 ] 米津いつか

OGAWA COFFEE LABORATORY 桜新町
[所在地]東京都世田谷区新町3-23-8 エスカリエ桜新町1F
[電話番号]03-6413-5252
[アクセス]東急田園都市線 「桜新町駅」下車 徒歩4分
[ウェブサイト] https://www.oc-ogawa.co.jp/

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